世界樹の迷宮IIIクリア 3作目にしてやっとYK-2らしさがでてきた

ラスボス(エンディングを見ていてもこれは序の口でおそらく2週目以降でたぶん本当のラスボスがあるはずだが、とりあえずのラスボス)はたぶんシリーズで一番弱い・・・?後味の悪いエンディングだったが、中盤で分岐があるのでマルチエンディングである模様。

今回も長文です。

ボリュームについて

4月1日に購入して5月1日にクリア。ほぼ毎日プレイしてこれなのだから、ボリュームはかなりある。時間だけなら1作目、2作目よりかかったと思う。

正確な時間はわからないが40時間以上50時間くらいかな。LVは一番低いやつは47で高いやつは54。ほとんどのキャラがひたすら通常攻撃していたのでLVはもっと低くてもクリアは出来ると思う。

今作は戦闘に時間がかかるようになったのが特徴で敵を一撃で簡単に倒せるということがほとんど無い。雑魚キャラですら味方5人の攻撃を重ねてやっとたおせるという状況も珍しくない。FOEやボスもそれは顕著でTP回復財を連打するのはシリーズでこれだけだと思う。そのかわりTP回復のスキルなど消費を減らすものがあったり、各階にテントを張ってHPTPを回復させたりすることが出来るので長期戦できついというものではないが、それは雑魚戦だけの話。


ただし、シナリオ分岐が中盤にあることによって1週時点ではまだまだ終わらないというのが今回の特徴か。

難易度について

今回1層から殺しにかかるというバランスではないようだ。前作で大量にやられた「ああっと」も大幅弱体化したこともあって死ぬ要素が少ない。4層ボスまで全滅無かったというのはめずらしい。

マップ上のイベント発生箇所で敵がどんどん沸いてくるとか休憩していったら殺しにかかるとかそういうのはない。だいぶまろやかになりましたね。


また、層がかわるごとに雑魚の強さが段違いに強力になるということもなく、今回は1層から2層にあがるときだけだったようだ。


一番きつくてやばいと思ったのは3層FOEあたりかな。


全体状態異常や縛りが全体的に多くて、直接的にダメージで殺しにかかってくるのが少ない感じ。そしてこちらも大ダメージを簡単に与える技が乏しく雑魚戦で長期戦化しやすいので補助系かけて通常攻撃が一番バランスが良いという。鍛冶のせいもあると思うけど。


1層ボスは過去の作品に比べてずば抜けて強いと思う。2層もなかなか。そのあとのボスはぱっとしない強さが続く。3層はFOEがアレだけ強いのにボスは弱いもんなぁ。


TP回復スキルがこれだけあるにもかかわらずTP回復アイテムを使った数はシリーズで一番かな。

サブクラスシステムについて

今作初登場のシステム。

サブクラスはLVが低いうちは意外と罠。スキルの特性はそのままサブであってもメインと同じということから、メインのスキルのポイントを削ってサブにふってしまいがち。そうするとかなり弱体化してしまう。また、弱点を埋めるというよりはコンボを狙う、相乗効果でさらに得意なところを伸ばすといったほうがいいようだ。

組み合わせでとんでもない性能が生まれることを危惧しておそらくこの低倍率高消費TPになったものだと予想される。結果、キャラ単体ではつまらないものに。


欠点としてはサブクラスもスキルだけなら完全にメインのクラスと同じものが使えるということで、クラスが違うキャラを入れ替えて楽しむということが減ったと思う。



航海システムについて

これも初登場のシステム。

迷宮探索の息抜きに海に出ることが出来たのはよかった。ただし、迷宮の進行速度に合わせてアイテムが入手できるようで、迷宮を進めないと航海も制限がつく。


街とかを見つけると褒美として大航海クエストが出来るのがよい。いわゆるボスと好きなだけ戦えるという仕組みだが、NPCが1,2,3人いるというのがポイントで、こちらの精鋭を5人入れることが出来ない。大概弱点属性があること、回復薬は必要なことでゾディアックとモンクが必須になってる感じではあるが。


また、NPCの活躍を見て、普段使っていない職業がどんなものなのかを知ることができるのは非常によいと思った。

鍛冶システムについて

これも初登場のシステム。

同じ武器でも鍛冶によって個性が生まれる。命中率上げたり属性つけたりクリティカルを出しやすくしたりとか。


いいシステムだと思うんだけど、武器がどんどん入手できるので、大金や消費アイテムの手間をかけてまで強化する意味が薄いのが問題。


武器の数今の1/3くらいにして鍛冶枠を多めに調整すると面白かったかも。せっかく大航海クエストで固有の武器もらったりとかして武器に愛着わくような仕組みがあるのに次から次へと新しいのが出てきてそれを買うだけでいっぱいいっぱいという。かといって弱めの武器+鍛冶したほうが強いかというとそういうことはほとんど無く。


どうも一番効果が体感できるほど強いのは属性付与のようだ属性付与は1つにつき10%分つくが、このぶぶんだけが属性がついている。つまり、攻撃するときは物理と炎など複数の属性で計算されることになる。ただし、効果はあくまでも通常攻撃時のみ。

プリンスの属性付与にしても通常攻撃でしか効果はないようだ。ATK上昇は1つにつき3%で、効果は体感できないがスキルにも乗る。が、4スロット使っても12%ではあまりうまみがない。弱点を突かなくても通常攻撃で10%のる属性が今のところ安定か。4スロットつくとなんと弱点でもないのに140%のダメージが出る。これは強い。下手にTP消費したスキルより上。また、武器のマスタリも通常攻撃にしかダメージボーナスがつかないことから、通常攻撃が命中率的にも大安定ということになる。弱点を突いてダメージ2倍計算した場合180%にもなる。かわりに抵抗力がある場合120%となる。それでも20%の上乗せは十分体感できるほど強い。

というのに気がついたのは4層入ってからだったかな。それまでは武器をどんどん強いのに変えていったほうが効率がよいと思う。

音について

3作目にしてYK-2、つまり古代祐三らしさ、さらにいえばゲームミュージックらしさが出たと思う。やっと!みんな1作目の時点でこれを待っていたはず!

曲そのものが1作目、2作目と比べて大幅によくなったかと聞かれると実際はそうでもないと思う。でも、往年のゲームミュージック全盛時代を思わせるBGMがやってきたのだ。「音」そのものがなんか1作目2作目と明らかに違う。FM音源が強調されているというか。なんか言葉ではうまくいいあらわせないが聴いてもらえればわかるはず。

ゲームミュージックとはこうあるべし。


お気に入りの曲は4層、5層、後期戦闘、大航海クエスト、ボス、ラスボスあたり。街の各施設の曲もだいぶいいと思う。4層と後期戦闘、大航海クエストは欲にゲームミュージックしていて大好き。

1作目の後期戦闘曲もガツンと来るのも大好物だけどね。あきにくい名曲だったし。今作の曲は20年異常前の8bit時代のBGMだといわれてもOKなものがそろってる感じ。


configで音楽聴けるのでじっくり堪能できる。スキームとかソーサリアンとか思い出すような曲がちらほらあるのであの時代を知っている人なら音楽目的で購入してもよいだろう。


大航海クエストの曲。最後切れてる(1ループ3:30以上ある)のが残念だけど。

全盛期の古代が帰ってきたぞー!と叫びたい曲だと思う。


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4 近年まれに見る、やり応え十分の良作
4 大航海はちょっと残念
3 君たちは3から始めてもいいし1からでも自由だ

自分がメインで使用したクラスの感想

  • プリンス

1列しか対象にならないが、強化スキルが強力。それぞれターン数が短いが物理攻撃、物理防御を増やすスキルは極めると受けるダメージを半分に、与えるダメージを1.5倍にする強力なもの。予防も強いし、毎ターンHP回復も強い。でも強化枠の消費が一番のネックに。今回はリミットスキルでの強化もあるんで。

バードのように効果が弱めで全体強化としなかったのは正解だと思う。戦闘の安定性を下げるという意味でバランスはとりやすいはずだ。

ステータス的にはバランス型。攻撃が極端に強いわけでもなくTPも大目、なんのサブでもいけるとおもう。まさかファランクスと同様の装備ができて固いキャラとは思わなかった。VITもウォリアーより高い。

HPやTPの回復スキルがあるが、これらの発動は特定条件化で発動。それでも戦闘終了時にプリが生きていたら回復や歩行時の回復は非常に頼りになる。モンクのTP消費を大きく抑えることが可能。プリなしPT作ってこのありがたみを思い知ることになる。

  • ウォリアー

防具はモンクに多少盾が装備できるくらいにした程度で、中盤以降そんなに固いわけではないのがわかってくる。ただ、HPはかなりあるし、STRもぶっちぎり。後半は固有スキルもあって他のキャラとダメージの差が出るが、序盤中盤はあんまり体感できないくらい地味。

TPが少ないこともあってチャージ+通常攻撃がメイン。剣だろうが行動速度が極端に遅いのでプリの強化+即同一ターンでの攻撃の恩恵が得られやすい。鍛冶の属性付与がものすごく強いので通常攻撃で問題になりにくいというか。

ミスも多くて最後まで地味。鍛冶のおかげで命中率が低くてTP消費がある低倍率のスキルよりボス戦ですら通常攻撃のほうが安定する場合が多いのがなんとも。

ウルフハウルは状態異常なしでも優秀。前提だからとっただけのアベンジャーが意外と活躍する場面も。

  • モンク

唯一の「普通の」HP回復スキルもち。

それどころかSTRもVITも高く、回復キャラなのでTPも高い。AGIも高めで穴がないように見える。が、中盤以降HPの低さが目立ってくる。

通常攻撃の威力が優秀で縛り、状態異常ともにスキルレベルで範囲が増えていくので非常に強い。自分の縛りや状態異常を一定確率で回復するスキルも便利。

メインでもサブでも優遇されすぎるだろというクラスかな。シノビがいれば血返しが鬼の持久力を提供してくれる。

パーティーヒールLV3でクリアしたが、LV1のほうが遅くて使いやすいかも。フルヒーリングは必要ない感じ。

低レベルのリザレクトやネクタルで蘇生後全体攻撃で即死というのがあまりにも多いのでリザレクトあげると安定する。

  • シノビ

おいらが使った中では最初から最後まではずれ。打撃をするのではなく、毎ターン囮を出す職業かな。ファーマーとの組み合わせで移動中は最高だったけど。うちはウォリアーもサブでファーマーやっていて金には困らなかったな。むしろアイテム所持数が少ないのがきつい。

バリスタいれたほうが安定したかな。

AGIが異様に高いのでアイテムを使うとよい。とくにマドラが非常に強力なのでこいつが切れるまでは安定する。

サブとの組み合わせを楽しむためのベース位で思っていたほうがいいのかも。

  • ゾディアック

属性攻撃のスペシャリスト。アルケミストと同類。スキルレベルを上げても倍率が低い上にTP消費量がそれ以上に跳ね上がるのできつい。それでも強力な敵と戦う場合はやはり一番頼れる。頼れる理由が他のスキルに比べれば命中率が高いほうであるという点くらいか。また、強力な敵ほど弱点属性が大概ある。

物理スキルもあるが前提が多い割にはダメージはそのままでは消費TPを考えるとぱっとしないので厳しいか。

SPがひたすら足りない。クリアまでに3種の全体属性をとるのは不可能とおもったほうがよい。消費TPと威力を考えるとぱっとしない。前作の後半における物理属性の錬金術のようだ。

全クラスで最大級のTPをもつが、消費も多いのでTPも意外と持たない。そして、1ポイントの重みが薄い職業なので、固定で回復するTP回復アイテムとの相性が悪い。

  • ファーマー

戦闘能力は本当に低い。とはいえ序盤は装備の効果が相対的に大きいのでよい武器や防具装備すれば通常攻撃程度は何とかなる。

今作は消費アイテムの重要度が高く、1層あたりは宿屋に泊まるのもきついというすごい金欠バランス。こいつなしでの1層クリアはおそらくかえって時間がかかるだろう。ファーマーがいることによって戦闘中の底上げは期待できないものの、入手可能な装備を常に最強にしておくことが可能というのはすばらしい特徴だと思う。

もっとも3層くらいから雑魚の収集品ドロップだけでそれまでの金に困るという感じはなくなってくるので、役に立つ具合は減ってくるけど。大航海クエストの収集品売るだけでも金にもなるし。そのかわりにFOEの配置や雑魚との遭遇を0にしたりと役に立つことも多い。

前衛ならブレイブハートでTP回復は結構発動する。ウォリアーにつけてみたがTPにかなり余裕が出来た。

メインシノビとあわせて消費TP1の二毛作でウハウハ。


  • そのほか

チャージやエーテル圧縮など力をためてダメージどかんというのがターンあたりのダメージは強いが、縛りや状態異常との相性が悪いこと、物理は特にミスが多いことでうまく回らないことも多いのが難しい。

パイレーツ/バリスタトリックスター+前陣は強いが突剣のスキルが使えないのがきついかな。ダメージだけ高くてもあんまり意味ないし。

そのほか気になったところ

攻撃のミスが多い気がする。特にスキルを使うと顕著。武器にかかわらず大幅にミスがでやすいようだ。ゾディアックの属性スキルも意外とミスする。ためてミス系はほんと心が折れそう。


アガタ達はどうなったんだ?途中からまったくでてこなかったんだが。


エストクリア時に報酬以外に経験値が入るようになった。序盤は無視が出来ない量だと思う。普段使っていないキャラを報告前に入れ替えて経験値をゲットするということも可能だ。このシステムのおかげでクエストが俄然やる気になった。また、酒場で(時には酒をおごって)情報を入手したりとかなりよくなっているのがわかる。ただ、クエストのめんどくささはあいかわらずで、クリアの仕方がちょっとわからないとか面倒なのが中盤以降増えていき、結局クエストをやらなくなってしまった。今までよりは確実にモチベーションはあがるものの…。


システム的にいろいろと新しいことをやろうとしているあたりは非常に評価できる。職業一新したのは正解かな。ただ、職業が組み合わせ、コンボを前提としすぎていて、単体で成り立たない、倍率が抑え目、TPもたないって感じに設定されすぎていることなどいろいろと不満点はある。

前作までが「とんがったものを持っていたけど、不満点も大きくそれでも総合的に評価は高い」、という感じだったのが「全体的にまとまっているけど、とんがったものもあんまり無い」という減点を恐れた無難な内容になりすぎている気がする。

敵の耐久力とこちらの攻撃力のバランスの悪さはもともと倍率が2作目くらいのバランスだったのかなとか思ってしまった。全ての補助系スキルが完全にかかっているのが前提というか。


共通でコモンスキルとしたのははずれだったかなぁというのが正直な感想。伐採とか誰も取らんでしょ、これじゃ。練り直ししたほうがいいかも。縛りと状態異常、弱体化とかも複雑にしすぎ。敵に掛かっている弱体化系もわかるようになるとうれしい。


今回は街が2つあるわけだが、この2つの行き来がメニューから選ぶだけなので、2つ目の街で買い物や宿にとまったりすることがするということがほとんど無いのが悲しい。


武器や防具のの攻撃力・守備力表記がわかりにくい。表示される攻撃力等はSTRやVITの影響を受けたものが表示される。そのため武器についている攻撃力という同じ表記が誤解を生む。いままでの意味の無い数値のほうが問題あったけど、今のやつもベストな表記ではないはず。


リミットスキルのイージスの盾でも我慢は防げなかった。ターン終了ステップでの発動のために効果がないという感じなのかな。


最後に、1作目、3作目で一番ダメだったところが直っていなかったのにがっかりきた。それは3Dマップ画面をみて左右に道があるかわからないということ。これは3DダンジョンRPGとしては致命的。歩いたところがマッピングされて自分の位置が表示されることで今まで問題になることは少なかったが(それでも面倒くさいのは変わらず。左右に首を振ってはじめてわかるとかだめすぎ)、今回は下のマッピング画面が作動しないエリアがあるのでこれがさらに悪化したという感じ。3D画面だけ見ての移動操作が出来ない3Dダンジョン物ってはっきりいって欠陥だと思う。

5段階評価

以下いつもの5段階評価。

  評価
システム ★★★★−
シナリオ ★★★−−
サウンド ★★★★★
グラフィック ★★★−−
総合評価 ★★★★★

まぁなんだかんだで面白いのは間違いは無い。音楽の重要性はシステムやシナリオ、ゲームバランスと同レベルのもので決して手を抜いてはいけないものだということを改めて教えられた感じ。音楽に手を抜くとゲームの面白さは半減する。

後今回もテストプレイすればすぐにわかるというバグ仕込んでるみたい。過去の作品ほどひどいものは少ない感じであるが、このシリーズってデバッグに力を入れないのが特徴になりつつあるね。そこが残念。