SFC ファーランドストーリー クリア

概要

1995年発売のスーパーファミコンシミュレーションRPGです。

これはPC-9801用ソフトのファーランドストーリー1作目と2作目を融合させた作品です。
2作目の後半のストーリーが少し変更されていますが、基本的に同じものと考えてよいでしょう。

SFCにはファーランドストーリー2もありますが、こちらはPC98の作品とは何の関係もありません。


1995年発売ということで、1996年のPC-FX版や1997年のPSやWindowsに再移植された四つの封印の大本といえます。

LVは1部(1作目部分)と2部(2作目部分)とでリセットされません。このあたりもPCエンジンイース1/2のようなものですね。


PC98版ももっていますが、キャラ会話が専用の画面に切り替わるのが大きな変更点でしょうか。それ以外はUI的にそれほど差はないと思いますが、この変更だけでもわりと感覚は違ってきます。

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ゲームシステム

シミュレーションRPGということで、基本はファイアーエムブレムのようなものです。

大きな違いは、以下のようになります。
・マップはHEXで移動させにくい
・道具は全キャラで統一されたもの
・アイテムの受け渡し、道具の使用、装備変更ではターン消費せず
・補助系魔法など一切なし
・プリースト系の回復スキルはかならず全快するものを1つだけ
・敵キャラの動きがやる気がない
・移動力が全体的に少ない


最後のところですが、これがなかなか厳しいです。なんせ、平地を歩くときキャラの移動マス数はそのほとんどが3-2マスです。これは異常に足が遅く前キャラを目的地に移動させるのに時間と手間がかかります。

一応主人公には集合メニューがあり、それを使うと簡単に集められるのですが、問題は地形があるとひっかかって主人公によってこないことです。あまりにも適当すぎます。

ゲームバランス

難易度は非常に低いです。やられてしまった味方をアイテムやプリースト系の回復魔法でよみがえらせることができます。回復アイテムの使用もターンを使いません。敵の攻撃を受けた後、自分のターンで回復、攻撃して反撃を受けた後また回復、そしてターン終了、といったことも可能です。アイテムの所持も個人ごとではなく、全体で一つのアイテムセットとなっています。そのため、薬草を大量に持っているとそれだけで十分です。ターンを消費しないことからわかる通り、回復量も一番少ない薬草を複数回使うで最終面まで十分だったりします。

1部はほぼファーランドストーリー1作目そのもののため、移動が異常につらい以外は割と問題ありません。
1部は成長がヘタレた場合を考慮してかパラメータを増やすドーピングアイテムが店売りされていて、どうにでもなります。ドーピングアイテムは使わなくてもクリア可能な万全のバランスです。

問題は2部です。こちらはドーピングアイテムがないのでヘタレると最悪です。特に素早さが足りないキャラがわりと多く、雑魚戦で死にまくるキャラが固定化されます。また、雑魚の強さがよくわからない設定も多く、以前の章より後から追加される敵キャラのほうが弱いといったことがなぜか起こります。また、1部から引き続いて登場する雑魚キャラのほうが強いことも多いなどよくわかりません。

2部最後のラスボスの素早さ設定も異常で、主人公も含めて素早さが育ったキャラも含めてあらゆるキャラが一撃で殺されることがほとんどです。主人公がやられるとゲームオーバーになるため、主人公以外でダメージを与えておいて、最後に主人公でとどめだけをさすというのが必要になります。

LVUP回数が1部と比べて10回ほどは多いため、1部時点では問題になりにくかった素早さの問題が発覚しやすいことなど、ドーピングアイテムが必要なのはむしろ2部の方だったのではないでしょうか。


これだと1部は問題ないように感じますが、実際のところMAPを移動しまくる感じは1部のほうが多く、敵キャラの配置や召喚などを考えても移動をひたすら行う場面が見られます。戦闘バランスは2部では崩壊していても、MAPの敵や町などの配置などは1部より良くなっているということです。

ユニットの特徴

職業ごとに特徴というか隠しパラメータ的なものがあり、画面に表示されるステータスがわりとあてにならないことが多いです。

ウィザードとソーサラーは魔法抵抗があります。ステータスの魔法防御に関係なく魔法に強いです。もちろん、これらのキャラは魔法防御も高いのでさらに魔法に対しては圧倒的な強さを持ちます。同じ魔法系の最初から上級のメイジは魔法防御は高いですが、魔法に強いという特徴はないです。そのため、魔法防御が同じソーサラーなどと比べて受けるダメージが大きいです。

ドワーフ系は魔法にめっぽう弱いです。魔法防御自体も低いのですが、その数値以上に異様にダメージを受けます。

空を飛んでいるセイレーン族は弓に弱いです。これはイメージ通りだと思うのですぐ気が付くかもしれません。

ナイトは弓に強いです。


敵専用ユニットですが、サキュバスは男性キャラに対して圧倒的に強いようです。


あと、2部に登場しないキャラもいます。2部は職業が被らないようになっていて、ユニットの外見ですべてキャラ名が判別可能です。1部はないとは3キャラ、バードは2キャラ、プリーストは2キャラになるためキャラのステータスを見ないと判別できません。これはかなり苦痛です。また、2部で使えないのならそいつらを無理に成長させる必要もありません。経験値をその分別のキャラに割り振れば2部は少し楽になったのかなとか思いました。もっとも2部は基本簡単なのですが。

ストーリー

割とどうでもよいお話ですが、ファイアーエムブレムが1作目からこなれていたのに対してこちらのテキストは結構ひどいです。
同人ソフトなら納得する範囲ですが、95年時点で商用でこれはなかなか珍しい部類かもしれません。

サウンド

全体的にひどい完成度ですが、BGMだけはまったく問題ない完成度となっています。
効果音周りが演出含めてあまりやる気がないとは思いますが、BGMはよいのでサウンドは差し引きゼロといったあたりでしょうか。


そのほか気になったキャラ達

飛行をしているので4マスという驚異的な移動力を誇る。4マスが驚異的なのはこの作品だけ。FEだったらアーマー系だよなぁ。
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ワルキューレの専用槍は近接が物理、間接が魔法という直間両方が使えるだけではなく属性も使い分けできるというすぐれもの。ステータス的には可もなく不可もなくといったところか。若干打たれ弱いが、問題はないレベル。専用最強武器は近接物理。1部、2部ともに途中から仲間になるが使いやすいので問題なし。


2部からの途中参加キャラの割に専用のお話とマップが用意されており、初期HPの異様な高さと魔法系唯一敏捷さが伸びるため圧倒的に使いやすかった。
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顔もおちついた感じで優遇されている感じか。専用最強武器は間接魔法。


主人公の幼馴染の魔法使い。ライアと比べてどれだけ弱いのかがわかる。魔法抵抗もちではあるが、敏捷さがほんとやばい。
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表示バグ。
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ウィザードの最強武器は近接魔法。でも説明のところには間接と書いてある。間接だったら使いやすかったろうに。1部の3章、2部の3章からと早くから使えるのが強みだが、それだけ。


近接物理オンリーですが魔法防御以外の伸びが非常によいので使いやすいです。最強専用武器ももちろん近接物理で使い分けの必要がない。
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ドワーフ族の族長はバーサーカーだったのでまじめなこいつに変わったほうが良いのは間違いないです。
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物理オンリーながらも近接と間接両方扱える投げ斧を使いこなすドワーフの族長はステータス以上に相当使いやすいです。
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ドワーフたちは1部2章、2部は最初から仲間になるため非常に使い勝手が良いです。


主人公の剣の師匠。1部の最初からいます。2分も2章からと使いやすい。らしいですが、ステータスはかなり散々です。最初強ければFEのジェイガンのポジションもあったでしょうが、そういうこともなく。
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ただし、1部の時点ではステータスがこれほど話されていないこと、武器自体は使いやすい近接間接物理の投げやりを使いこなすため、問題にはなりません。問題は2部の後半おいていかれることですね。敏捷さが問題になるのも2部から。


そして2部に登場しないキャラのエンディングはこれくらい適当な扱い。
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ボリューム

ファーランドストーリー1作目から14話全部。
ファーランドストーリー2作目全14話のうち直接的に関係のない外伝3話を除いた11話を収録。
合計25話。ボリューム的に14話だと短いと感じるのでちょうどよい。ただ、第2部はひたすら追いかけるだけなのでお話が適当過ぎ。1部の幼馴染を救う、敵から大切な封印アイテムを守るといったところがあまりない。
この25話というのはちょうどファイアエムブレム初代のボリュームなのでよい塩梅だとは思う。

移動が遅いので時間はかかりやすいもののリセットはまずないので思ったよりは時間はかからないだろう。集合をうまく使えばよい。また、いつでもどこでもセーブができるのでそこの地点からのやり直しもできる。ボス前などやばい時や調子が良い時は3カ所まで好きにセーブできるのでそれを使いこなせば冒険もしやすい。

評価

いつもの5段階評価。おすすめかかどうかは総合評価を見てもらえれば。

  評価
システム ★★−−−
シナリオ ★★−−−
サウンド ★★★−−
グラフィック ★★★−−
総合評価 ★★−−−

とにかく移動が苦痛。それさえ我慢できれば入門的には問題ないかもしれません。

ですが、これやるくらいならファイアーエムブレムシリーズをやるほうが何倍も満足度が高く、そちらのほうがおすすめです。

際物好きならよいですが、スクリーンショットのきれいさだけをみてプレイすると結構苦痛だと思います。