3DS Code Name: S.T.E.A.M. リンカーンVSエイリアン

タイトルが微妙に長くて略し方もわからないという微妙な感じある。蒸気を使った兵器を駆使して戦うという意味ではSTEAMのほうがいいのだが、これ自体は通常の単語でもあるし、そもそもリンカーンは直接戦わないだろう・・・と思っていたらやはりリンカーンの名前も必要だという展開ありで、困る。

リンカーン大統領が巨大ロボットに乗り込んで敵と戦うとか誰が想像できるだろうか?

システム

見た目はTPS。でもアクションゲームではなく、シミュレーションゲーム。一応マス目があることなどからファイアーエムブレムファミコンウォーズの系列に近い。3D化されているので、上のエリアや下のエリアなどに分かれていたりするのがとても良い。平面では味わえない仕組みがある。

一見見た目は似たようなTPS風味のSLGはあるのだが、全く別のゲームになっている。操作方法はキャラ移動とカメラ移動、カメラの中心が攻撃箇所ということで、いわゆる3Dシューティング、TPSに近い操作性になっているのがポイント。敵や味方の視点が大事になるわけだ。

そして、あらゆるものは自分のキャラクターからの視点でしかものが見えない。これ全体マップ的なものがないことということで、少しずつ敵の居場所やマップを把握していきながら進める楽しさがある。

欠点としては全体を俯瞰で見ることができない、遠くの見えない敵の動きがわからないなどのおかげで、敵のターンの待ち時間が長く感じやすい。すべての敵の動きもファイアーエムブレムなどのように見せればおそらくこれは解決する。しかし、緊迫感なども薄れるため、この辺はどうにもならないと思われる。


キャラクターはそれぞれ異なるLIFEと体格、能力、メインウェポン、そしてスペシャル技をもつ。LIFEは単純に体力で、打たれ強さをそのまま表す。体格が大きいキャラほどライフは多い傾向はあり、前衛向き。体格は3種類あり、バックパックは体格ごとに装備可能が決まっている。バックパックは後述するスチームに大きく関係するほか、攻撃や防御能力、ジャンプ時の飛行能力など関係してくる。

能力は目の前の障害物を押すことができるか、けり壊すことができるか、味方全体のクリティカルがアップする、カウンター能力が強いかなど個人的に付与されるものと味方全体に効果があるものと様々。

メインウェポンはキャラクター固定。これがそのキャラの最大の特徴を持つ。サブウェポンは自由に装備を付け替えることができるため、キャラクターで縛られはしない。

スペシャル技はスチームを消費せず、そのマップ中に1回だけ利用な特殊能力。1回しか使えないだけあって、非常に強力なものが多いが、後半はこれを使うタイミングが重要になる一方、使わなくてもクリアは可能だ。1回しか使えないだけ、非常に使いどころが難しい。なんせ、マップ全体が見渡せないのだ。現在どの程度まで進んでいるのか、ここが一番の山場なのか判断ができない。しかし、そこが楽しい。


このゲームにはスチームという毎ターン支給される行動ポイントがあって、これを利用して移動(1マスで1使用)、攻撃(武器によって消費ポイントが違う)することになる。このスチームは装備しているスチームのバックパックによって最大保持可能数と毎ターンの補充数が変わる。そのため、最大値は低いが、毎ターン使い切る方向ですすめるか、最大値が多いため、少しずつスチームを残しながら進めるかなどといった戦略性が生まれる。

また、スチームを残して、一部の武器を装備した状態でターンエンドをすると、敵が移動してきたときに自分の視界に入った相手を自動攻撃する仕組みがある。このカウンター的な攻撃が得意なキャラとかは、自分のターンでは攻撃するのに消費スチームは4だったのが、この時は3になるとか、その逆で普段は1消費なのが、このカウンターは3だったりとかあり、考えることはいくらでもある感じだ。もちろん、武器によって射程は様々で、長射程のものは開けたところで待ち構えたり、散弾的なものは近くによらないと大ダメージになりにくいため、曲がり角で待ち伏せるなどもあり、得意な場面もそれぞれ異なる。

基本突っ込んでくる系が多いとは思うが、うかつに近寄らないやつもいるし、ステルスの敵もいてこのカウンターが反応しない敵などもいるので常に待ち伏せしていればOKというものでもない。スチームを残してターン終了したが、敵も動かなかったなどではターン数がふえて、敵の援軍でやられやすくなったりもする。



マス目に関しても、一つのマス単位できっちり動くわけではなく、マス目はあくまでもスチームの消費単位で区切られたもの。マス目のどの場所にいるか微妙な位置で相手の視点から避けて攻撃など、マス目に縛られないゲームになっているのが面白い。腕の差を出しやすいという意味ではマス目はあと一回り(縦横1.2倍程度)大きくしてもよかったかもしれない。



難易度

難易度はファミコンウォーズファイアーエムブレムのハードとくらべると全体的に優しめだろうか。

最終章あたりが難易度上昇するが、それでもファミコンウォーズのラストあたりのつらい難易度に比べるとかなり楽だ。試行錯誤でクリアできる範囲でちょうどよい。

ファイアーエムブレムの場合は序盤中盤が一番きつく、成長が成功した場合、終盤が楽になっていくのと比べると成長要素がないのでバランスは取れているといった感じ。

それでもサブウェポンやスチームバックパックのカスタマイズとどの隊員を使うかでカスタマイズはできるので、好きなキャラにこだわるのもよし、一度だめだったら隊員を変えてみるもよし。

成長要素がないことによるバランスのとりやすさ、キャラなどカスタマイズ可能でファミコンウォーズ系のがっちがちのきつい難易度がないことなど、インテリジェントシステムズのゲームとしてはバランスがとれたともいえる。


ボリューム

クリアまで30時間ちょっとかかった。ちょうどよいボリュームである。

また、FEと違い、面ごとに選択できること、ファミコンウォーズとは違い、取り損ねたギアがわかること、取得コインのハイスコア表示など完璧な結果を求める周回プレイがしやすいようになっているため、クリア後も目的をもって楽しみやすい。


評価

いつもの5段階評価。おすすめかかどうかは総合評価を見てもらいたい。

  評価
システム ★★★★−
シナリオ ★★★−−
サウンド ★★★★−
グラフィック ★★★−−
総合評価 ★★★★★

シミュレーション好きには文句なしにお勧めしたい。

現時点では細かい不満点なども多いのだが、初代ファイアーエムブレムも不満だらけの一点突破のシステムでその後につながっていったことを考えると、インテリジェントシステムはたとえばファンタジー路線に切り替えるとか、若干の成長を入れ込むとか、敵の動きにカメラを付けるとかやりながらこの方向を伸ばしてもらって、ファイアーエムブレムと並ぶ柱にしてもらいたい。

独特の漫画のような演出はなくてもかまわないだろう。テンポは良いが。